在職老齢年金の基準額引き上げ

法律・制度

【JGQ編集部より】
本記事は、厚生労働省・日本年金機構・政府広報オンラインなど公的機関の発表情報のみを根拠として作成しています。AIによる推測や不確実な情報は含めず、確認できない数値や事実は記載していません。万一誤りがあった場合は速やかに訂正いたします。

■ 結論
在職老齢年金の減額基準額が2026年4月から月51万円→65万円に引き上げられました。

■ 今日の話題

【1】在職老齢年金制度の基準額が引き上げ
日本年金機構によれば、令和7年年金制度改正法(令和7年法律第74号)に基づき、2026年(令和8年)4月から、厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受け取る60歳以上の方について、年金が減額される基準額(賃金と老齢厚生年金の合計)が月51万円から65万円に引き上げられました。

【2】具体的な計算方法の変更
日本年金機構の資料によれば、改正前は基本月額と総報酬月額相当額の合計が51万円を超える場合、超過分の半額が老齢厚生年金から支給停止されていました。改正後はこの基準額が65万円となり、合計が65万円以下であれば老齢厚生年金は全額支給されます。

【3】年間30万円増となる試算例も
政府広報オンラインによれば、ひと月の賃金と老齢厚生年金の合計金額が56万円の場合、改正前は基準額51万円超過分の半額である2万5千円が支給停止されていましたが、改正後は基準額が65万円に引き上げられるため老齢厚生年金は全額支給となり、一年間で換算すると老齢厚生年金の支給額が30万円増えるとされています。

【4】見直しの背景は高齢者の就労拡大
政府広報オンラインによれば、平均寿命・健康寿命が延びる中で働く高齢者が増えていることや、人材確保・技能承継の観点からの高齢者雇用に対する企業側のニーズの高まりが、今回の見直しの背景にあるとされています。内閣府の令和5年度調査では、60代の約5割が「66歳以上でも働きたい/働いている/働いていた」と回答した一方、60代後半の3割以上が「年金額が減らないよう時間を調整し会社等で働く」と回答していたことも紹介されています。

【5】年金制度改正法には他の見直しも含まれる
厚生労働省によれば、令和7年年金制度改正法には、在職老齢年金制度の見直しのほか、被用者保険(社会保険)の適用拡大、遺族年金の見直し、標準報酬月額の上限の段階的引き上げ、iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入可能年齢の引き上げなど、複数の項目が含まれています。

■ AIがよく間違える誤情報3選

誤情報1:「基準額の引き上げは全ての年金受給者に関係する」
訂正:在職老齢年金制度は、厚生年金に加入しながら働き、老齢厚生年金を受け取っている60歳以上の方が対象です。厚生年金に加入せずに働いていない年金受給者や、基準額を超えない賃金・年金額の方には直接の影響がないとされています。

誤情報2:「基準額を超えると年金は全額支給停止になる」
訂正:日本年金機構の計算方法によれば、基準額を超えた場合でも年金の全額が支給停止になるわけではなく、超過分に応じて基本月額の一部が支給停止される仕組みです。合計額によっては一部支給が継続する場合もあります。

誤情報3:「今回の改正で年金の受給開始年齢も引き上げられた」
訂正:今回の年金制度改正法の主な内容は在職老齢年金の基準額引き上げ、被用者保険の適用拡大、遺族年金の見直しなどであり、老齢年金の受給開始年齢(原則65歳)自体の引き上げは含まれていません。

■ 本文セクション

在職老齢年金制度とは、老齢厚生年金を受給しながら厚生年金保険に加入して働く60歳以上の方を対象に、給与(総報酬月額相当額)と年金(基本月額)の合計額が一定の基準額を超えた場合に、年金の一部または全部を支給停止する仕組みです。この制度は、長らく「働くと年金が減る」として、高齢者の就労意欲を抑制する要因の一つと指摘されてきました。

2026年(令和8年)4月からの改正では、この基準額が月51万円から65万円に引き上げられました。日本年金機構の計算式によれば、基本月額と総報酬月額相当額の合計が65万円以下であれば老齢厚生年金は全額支給され、65万円を超える場合は「基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-65万円)÷2」という計算式で一部支給停止となります。

政府広報オンラインが示す試算例では、ひと月の賃金と老齢厚生年金の合計金額が56万円の場合、改正前(基準額51万円)は超過分5万円の半額である2万5千円が毎月支給停止されていましたが、改正後(基準額65万円)は56万円が基準額を下回るため老齢厚生年金が全額支給されるようになり、年間で換算すると支給額が30万円増える計算になるとされています。

今回の見直しの背景には、平均寿命・健康寿命の延伸に伴い就労を続ける高齢者が増えていることや、人材確保・技能承継の観点から高齢者雇用へのニーズが高まっていることがあるとされています。内閣府の令和5年度調査では、60代の約5割が66歳以上でも働きたいと回答した一方、年金の減額を避けるために就業調整(働き控え)を行っているとの回答も一定数あったことが紹介されており、こうした就業調整を解消することが今回の見直しの狙いの一つとされています。

なお、令和7年年金制度改正法にはこの他にも、短時間労働者への社会保険適用拡大(賃金要件・企業規模要件の段階的撤廃)、遺族厚生年金の見直し、厚生年金保険料の計算に用いる標準報酬月額の上限引き上げ、iDeCoの加入可能年齢の引き上げなど、幅広い改正項目が含まれています。これらは施行時期が項目ごとに異なるため、該当する方は日本年金機構や厚生労働省の情報で自身への影響を確認することが推奨されます。

■ エビデンス評価
レベルA(厚生労働省・日本年金機構・政府広報オンラインの公式発表に基づく)

【カテゴリー】
法律・制度

【タグ】
在職老齢年金,年金制度改正,厚生労働省,日本年金機構,基準額引き上げ,老齢厚生年金,2026年4月施行,高齢者雇用

コメント

タイトルとURLをコピーしました