骨粗しょう症(医療・健康)

医療・健康

【JGQ編集部より】
本記事は、厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業)令和7年度分担研究報告書(研究分担者:伊木雅之 関西医科大学医学部客員教授「骨粗鬆症の疫学」)、および厚生労働省・日本整形外科学会等の公式資料に基づき作成しています。推計患者数は地域住民コホート研究と国勢調査データから算出した数値であることを明示します。情報は記事作成時点(2026年10月27日)のものです。

■結論(50字以内)
骨粗しょう症の推計患者は1,590万人。70歳代女性の3人に1人、80歳代では2人に1人が該当する。

■今日の話題

  1. 10月20日は国際骨粗鬆症財団(IOF)とWHOが1998年に共同制定した「世界骨粗しょう症デー」。国内でも各地でブルーライトアップや骨密度測定イベントが実施されている(出典:複数自治体公式情報)。
  2. 地域住民コホート研究と国勢調査データから算出した国内の骨粗しょう症の有病者数は約1,590万人(男性410万人・女性1,180万人)。女性に圧倒的に多い(出典:厚生労働科学研究費補助金 令和7年度分担研究報告書「骨粗鬆症の疫学」伊木雅之ほか、2026年3月)。
  3. 女性の年代別有病率は50歳代13.2%・60歳代22.8%・70歳代31.1%・80歳代56.2%。70歳以上の女性では2.6人に1人が骨粗しょう症に相当する(出典:同報告書)。
  4. 骨粗しょう症と密接に関連する大腿骨近位部骨折は年間約18万人が発生し、そのうち約2万7千人が超過死亡(骨折後の死亡)し、約7万5千人で身体機能の低下が起こると推計されている(出典:同報告書)。
  5. 厚生労働省の資料によると、「骨折・転倒」は要介護となった原因のうち約1割を占め、脳血管疾患・認知症・高齢による衰弱に次ぐ主要な原因となっている(出典:厚生労働省「国民生活基礎調査」に基づく介護原因分析資料)。

■AIがよく間違える誤情報3選

❌ 誤り①「骨粗しょう症は高齢女性だけの病気」
✅ 正しくは:有病者1,590万人のうち男性も410万人含む。男性は50歳代から有病率が上昇し、70歳代以降で急増する。ただし女性(1,180万人)が男性(410万人)の約3倍と多い理由は、閉経による女性ホルモン(エストロゲン)の急減が骨量を大きく低下させるため。男性も検診対象となる自治体があり、男女を問わず注意が必要(出典:同報告書・各自治体の検診案内)。

❌ 誤り②「転んで骨折しても、安静にしていれば回復できる」
✅ 正しくは:大腿骨近位部骨折(股関節周囲の骨折)は高齢者に多く、骨折後1年以内の死亡率は日本では約10%と報告されており、生命予後に大きく影響する。また、手術・リハビリ後も歩行能力が元通りに回復しないケースが多く、要介護状態に移行しやすい。安静にするだけでは回復が困難で、多くの場合手術が必要(出典:厚生労働科学研究費補助金関連報告書・医学文献)。

❌ 誤り③「骨粗しょう症は症状がないから受診しなくていい」
✅ 正しくは:骨粗しょう症は生活習慣病と同様に「初期には自覚症状がない」のが特徴。気づかないまま骨密度が低下し続け、ちょっとした転倒や衝撃で骨折して初めて発覚するケースが多い。日本骨粗鬆症学会等のガイドラインでは、閉経後女性・高齢者への積極的な骨密度測定を推奨しており、市区町村の骨粗しょう症検診(40歳・45歳・50歳・55歳・60歳・65歳・70歳が対象の自治体が多い)の活用が有効(出典:日本骨粗鬆症学会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」等)。

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■本文
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10月20日は「世界骨粗しょう症デー」

毎年10月20日は、国際骨粗鬆症財団(IOF)とWHOが1998年に共同制定した「世界骨粗しょう症デー」です。「世界中から骨粗しょう症による骨折をなくす」ことを目標に、世界規模で啓発キャンペーンが展開されており、日本でも各地で骨密度測定イベントやブルーライトアップが実施されています。


推計患者1,590万人——女性1,180万人・男性410万人

厚生労働科学研究費補助金(令和7年度)の分担研究報告書(研究分担者:伊木雅之 関西医科大学医学部客員教授)では、地域住民コホート研究と国勢調査データから算出した骨粗しょう症の有病者数を約1,590万人(男性410万人・女性1,180万人)と推計しています。

女性の年代別有病率は次のとおりです。

  • 50歳代:13.2%
  • 60歳代:22.8%
  • 70歳代:31.1%(約3人に1人)
  • 80歳代:56.2%(約2人に1人)

70歳以上の女性では2.6人に1人が骨粗しょう症に相当する水準です。

なお、これらの数値はコホート研究に基づく推計であり、調査設計により異なる場合があります。過去の推計(ガイドライン2015年版では1,280万人)よりも大きい値は、調査方法・算出方法の違いによるものです。


「症状がない」が最大の危険

骨粗しょう症は生活習慣病と同様に、初期段階では自覚症状がほとんどありません。骨密度が低下してもコルセットや鎮痛剤で対処しているうちに、椎体骨折(背骨の圧迫骨折)が積み重なって身長が縮み、背中が丸まる「円背(えんぱい)」に至ることもあります。

骨折しやすい部位は主に次の4か所です。

  • 背骨(椎体):転倒しなくても、くしゃみや荷物を持っただけで骨折することがある
  • 大腿骨近位部(股関節周囲):転倒時に発生しやすく、予後が最も悪い
  • 橈骨遠位端(手首):転倒時に手をついた際に骨折
  • 上腕骨近位部(肩):転倒時の衝撃で骨折

大腿骨近位部骨折の深刻な転帰

大腿骨近位部骨折は年間約18万人が発生し、そのうち約2万7千人が超過死亡(骨折後の死亡)し、約7万5千人で身体機能の低下が起こると推計されています(同報告書)。日本での骨折後1年以内の死亡率は約10%とも報告されており、多くの場合手術が必要です。

骨折による入院・手術を機に廃用症候群(安静や運動不足による身体機能低下)が生じ、一気に要介護状態へ移行するケースも多く、厚生労働省の国民生活基礎調査に基づく分析でも「骨折・転倒」は要介護原因の約1割を占める主要因となっています。


予防:カルシウム・ビタミンD・運動・検診

骨粗しょう症の予防で重要なのは次の4点です。

  • カルシウム摂取:成人で1日700〜800mg(牛乳コップ1杯約220mg、豆腐半丁約130mg)
  • ビタミンD:カルシウムの吸収を助ける。日光浴(1日15〜30分)でも生成される
  • 運動:荷重をかける運動(ウォーキング・スクワット)が骨への刺激となる
  • 骨粗しょう症検診:市区町村が実施する節目検診(多くは40・45・50・55・60・65・70歳の女性対象)を活用する

エビデンス評価

【レベルB】推計患者数1,590万人(男性410万人・女性1,180万人)、女性の年代別有病率(50代13.2%・60代22.8%・70代31.1%・80代56.2%)、大腿骨近位部骨折年間18万人・超過死亡2.7万人・身体機能低下7.5万人
 → 厚生労働科学研究費補助金 令和7年度分担研究報告書「骨粗鬆症の疫学」(伊木雅之 関西医科大学、2026年3月)から引用。コホート研究+国勢調査データに基づく推計であり、元の地域コホート研究論文が一次資料。

【レベルA】「骨折・転倒」が介護原因の約1割
 → 厚生労働省の国民生活基礎調査に基づく介護原因分析資料(複数の厚生労働省公式資料で一致)

【レベルB】世界骨粗しょう症デー:IOF・WHO共同制定1998年、10月20日
 → 複数の自治体公式情報で一致。IOF公式サイトの一次確認は未実施のためレベルB。

【カテゴリー】医療・健康

【タグ】骨粗しょう症、骨密度、大腿骨近位部骨折、骨折、要介護、介護予防、カルシウム、ビタミンD、世界骨粗しょう症デー、検診

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