【JGQ編集部より】
本記事は、厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査」(2025年12月公表)、厚生労働省「アルコール健康障害対策推進基本計画」関連資料(mhlw.go.jp、2026年公表)、および「健康日本21(第三次)」の公式資料に基づき作成しています。アルコール依存症推計64.4万人は、国立病院機構久里浜医療センター「令和6年度 飲酒と生活習慣に関する調査」結果速報(2026年公表)によります。情報は記事作成時点(2026年11月3日)のものです。
■結論(50字以内)
生活習慣病リスクを高める量の飲酒者は男性13.9%・女性9.3%(令和6年)。女性は悪化傾向が続く。
■今日の話題
- 厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査」(2025年12月公表)によると、生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合(1日当たり純アルコール摂取量が男性40g以上・女性20g以上)は、全体11.4%・男性13.9%・女性9.3%(出典:厚生労働省「アルコール健康障害対策推進基本計画」関係資料 2026年版 同調査データを引用)。
- 健康日本21(第三次)の目標は、生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合を令和14年度までに男性13.0%以下・女性6.4%以下に削減すること。令和6年の男性13.9%は目標値(13.0%)をわずかに上回っており、女性9.3%は目標値(6.4%)から大きく乖離している(出典:健康日本21(第三次)公式資料)。
- 一時多量飲酒(ビンジ飲酒:過去30日間で1度に純アルコール量60g以上の飲酒)の割合は男性19.2%・女性4.7%(令和6年度 久里浜医療センター調査)。純アルコール60gはビール(5%)なら1,200mL(大瓶2本強)、日本酒(15%)なら約3合に相当する(出典:同)。
- アルコール依存症の推計生涯経験者数は64.4万人(推計範囲38.3〜90.5万人、令和6年度 久里浜医療センター調査)。依存症専門医療機関の新規受診患者は令和6年に男性11,840人・女性2,873人。アルコール依存症は「飲み続けたいという強迫的な欲求」「飲酒量のコントロール障害」「アルコールがなくなることへの身体的な離脱症状」を特徴とする依存性疾患(出典:同・厚生労働省)。
- 純アルコール量の計算式:「飲料量(mL)×アルコール濃度(%÷100)×0.8(アルコールの比重)」。例:ビール(5%)500mLの純アルコール量は500×0.05×0.8=20g。男性の「リスクを高める量」(40g以上)はビール大瓶2本以上、女性(20g以上)はビール大瓶1本以上に相当する(出典:厚生労働省・健康日本21)。
■AIがよく間違える誤情報3選
❌ 誤り①「適量を守ればお酒は体にいい」
✅ 正しくは:「適量のアルコールが心臓病を予防する」という従来の研究知見は、近年の大規模な研究によって見直されつつあります。2018年に医学誌ランセットに掲載されたシステマティックレビューは「健康のためにはアルコールをまったく飲まないことが安全」という結論を示しており、健康日本21(第三次)も「飲酒しない人・しない機会を増やす」という方向性を明示しています。「百薬の長」は科学的に確立された事実ではありません(出典:Lancet 2018、健康日本21(第三次))。
❌ 誤り②「アルコール依存症は意志が弱い人がなる病気」
✅ 正しくは:アルコール依存症は脳の報酬系に関わる疾患であり、「意志の弱さ」ではなく生物学的なメカニズムによって発症する依存性疾患。遺伝的要因・飲み始めた年齢・心理社会的要因なども関与する。WHO・日本精神神経学会も正式な精神疾患として分類しており、適切な治療(断酒・生活支援・家族支援)で回復が可能(出典:厚生労働省・久里浜医療センター)。
❌ 誤り③「女性はお酒に弱いから、同じ量を飲んでもアルコールの影響は少ない」
✅ 正しくは:女性は男性と比べてアルコール分解酵素(ALDH2)の活性が低い傾向があり、同じ量を飲んでも血中アルコール濃度が高くなりやすく、肝硬変・心筋症・神経障害などへのリスクが高い。このため健康日本21(第三次)の「リスクを高める量」の基準は女性が男性の半分(純アルコール20g以上 vs 40g以上)に設定されている(出典:厚生労働省「飲酒に関する基準」)。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■本文
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
令和6年調査:リスクを高める飲酒者は全体11.4%
厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査」によると、生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合は次のとおりです。
| 区分 | 令和6年 | 健康日本21(第三次)目標 |
|---|---|---|
| 全体 | 11.4% | — |
| 男性 | 13.9% | 13.0%以下 |
| 女性 | 9.3% | 6.4%以下 |
男性は目標(13.0%以下)にほぼ達していますが、女性(9.3%)は目標(6.4%以下)から約3ポイント乖離しており、悪化傾向が続いています。
「生活習慣病のリスクを高める量」の定義は次のとおりです。
- 男性:1日当たり純アルコール摂取量40g以上(ビール大瓶約2本相当)
- 女性:1日当たり純アルコール摂取量20g以上(ビール大瓶約1本相当)
女性に低い基準が設けられているのは、女性はアルコール分解能力が男性より低く、同量を飲んでも臓器へのダメージが大きいためです。
純アルコール量の計算方法
「純アルコール量(g)=飲料量(mL)×アルコール濃度(%÷100)×0.8」で計算します。
| お酒の種類 | 量 | 純アルコール量 |
|---|---|---|
| ビール(5%) | 500mL(中ジョッキ) | 約20g |
| 日本酒(15%) | 1合(180mL) | 約21.6g |
| ワイン(12%) | グラス1杯(150mL) | 約14.4g |
| 焼酎(25%) | 1合(180mL) | 約36g |
| チューハイ(7%) | 350mL缶 | 約19.6g |
男性の「リスクを高める量」(40g以上)はビール500mL缶を毎日2本(週あたり14本以上)に相当します。
一時多量飲酒(ビンジ飲酒)も注意
過去30日間で1度に純アルコール60g以上(ビール大瓶2本強相当)を飲む「一時多量飲酒」(ビンジ飲酒)の割合は、男性19.2%・女性4.7%(令和6年度 久里浜医療センター調査)です。
飲む機会は少なくても、一度に大量に飲むことは急性アルコール中毒・事故・臓器への急性ダメージのリスクを高めます。
アルコール依存症:推計64.4万人
「令和6年度 飲酒と生活習慣に関する調査」(久里浜医療センター)によると、アルコール依存症の推計生涯経験者数は64.4万人(38.3〜90.5万人の幅あり)。
アルコール依存症の特徴として次の3点が挙げられます。
- 飲み続けたいという強迫的な欲求(渇望)
- 飲酒量・飲み始めの時間をコントロールできない
- アルコールが切れることによる身体的・精神的な離脱症状(手の震え・発汗・不眠など)
治療は断酒を基本として、認知行動療法・自助グループ(断酒会・AA)・薬物療法(アカンプロサート・ナルメフェン等)の組み合わせが用いられます。
「節酒」のポイント
厚生労働省や健康日本21(第三次)が推奨する節酒のアプローチです。
- 週2日は休肝日を設ける
- 飲む量の上限を決める(例:日本酒なら1日2合まで)
- 飲む速度を落とす:空腹時の飲酒を避け、食事とともにゆっくり飲む
- アルコール量を意識する:缶・ボトルの「アルコール量(g)」表示を確認する習慣をつける
エビデンス評価
【レベルA】生活習慣病のリスクを高める量の飲酒者:全体11.4%・男性13.9%・女性9.3%(令和6年 国民健康・栄養調査)
→ 厚生労働省PDF(mhlw.go.jp/content/10601000/001764543.pdf)に「厚生労働省 国民健康・栄養調査より算出」として直接記載を確認
【レベルA】健康日本21(第三次)の目標:男性13.0%以下・女性6.4%以下
→ 厚生労働省「健康日本21(第三次)」公式資料から確認
【レベルB】一時多量飲酒(男性19.2%・女性4.7%)、アルコール依存症推計64.4万人
→ 久里浜医療センター「令和6年度 飲酒と生活習慣に関する調査」結果速報(国立病院機構・厚生労働省補助研究)。一次資料であるが、国民健康・栄養調査とは別の調査であることを明記。
【カテゴリー】医療・健康
【タグ】飲酒、アルコール、生活習慣病リスク、国民健康・栄養調査、令和6年、健康日本21、アルコール依存症、マクロ経済スライド、節酒、純アルコール量


コメント