【JGQ編集部より】
本記事は、日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」(令和8年4月1日更新、nenkin.go.jp)および日本年金機構FAQ「令和8年4月分からの年金額は前年度からどのように改定されたのですか」(令和8年4月1日更新)に基づき作成しています。改定率の根拠は厚生労働省(令和8年1月23日公表)による。情報は記事作成時点(2026年11月3日)のものです。
■結論(50字以内)
令和8年度の年金額は国民年金+1.9%・厚生年金+2.0%の4年連続増額改定。ただし物価上昇率は3.2%。
■今日の話題
- 日本年金機構の公表によると、令和8年4月分(6月15日支払分)からの年金額は国民年金(老齢基礎年金 満額)が月額70,608円(令和7年度比+1,300円)、厚生年金のモデルケース(夫婦2人分)が月額237,279円(+4,495円)に改定された(出典:日本年金機構 nenkin.go.jp、令和8年4月1日更新)。
- 改定率は国民年金+1.9%・厚生年金(報酬比例部分)+2.0%で4年連続の増額改定。この改定率は、前年の物価変動率(+3.2%)が名目手取り賃金変動率(+2.1%)を上回るため、低い方の賃金変動率(+2.1%)を基準とし、そこから「マクロ経済スライド」による調整(国民年金▲0.2%・厚生年金▲0.1%)を差し引いた数値(出典:同FAQページ)。
- 「マクロ経済スライド」とは、労働者数の減少と平均余命の伸びを踏まえ、年金財政の持続性を確保するために給付額の伸びを抑える仕組み(2004年に導入)。物価・賃金がともにプラスになった年にのみ発動し、令和8年度で4年連続の発動となった(出典:厚生労働省・日本年金機構)。
- 在職老齢年金の支給停止調整額は令和8年度から65万円(令和7年度の62万円から引き上げ)。令和7年の年金制度改正による法定の引き上げ(48万円→62万円)に加え、令和8年度改定による名目手取り賃金変動率を反映した引き上げが行われた(出典:日本年金機構 nenkin.go.jp・厚生労働省)。
- 受取額は「額面の全額ではない」点に注意。年金から介護保険料・健康保険料・所得税(一定額を超える場合)・住民税が天引きされるため、実際の手取り額は額面より少なくなる(出典:日本年金機構「年金から天引きされるもの」)。
■AIがよく間違える誤情報3選
❌ 誤り①「物価が上がれば年金もそのまま同率で上がる」
✅ 正しくは:年金額の改定基準は「物価変動率」と「名目手取り賃金変動率」のうち低い方を使うルールがある。令和8年度は物価変動率+3.2%・賃金変動率+2.1%のため賃金基準を採用。さらにマクロ経済スライドの調整(▲0.2%〜▲0.1%)が差し引かれる。物価+3.2%に対して年金増額は+1.9〜2.0%にとどまっており、実質的な購買力は目減りしている(出典:日本年金機構FAQページ)。
❌ 誤り②「マクロ経済スライドは毎年必ず発動する」
✅ 正しくは:マクロ経済スライドは物価と賃金がともにプラスの年にのみ発動するため、デフレや賃金が下落する年は発動しない(「未調整分の翌年以降への繰り越し」という仕組みがある)。令和8年度は4年連続の発動だが、過去には長年にわたって発動されなかった時期もある(出典:厚生労働省「マクロ経済スライドについて」)。
❌ 誤り③「厚生年金237,279円はすべての夫婦が受け取れる金額」
✅ 正しくは:237,279円は「夫が平均的な収入(平均標準報酬 賞与含む月額換算45万5,000円)で40年間就業した場合に夫婦2人で受け取る年金額(老齢厚生年金+2人分の老齢基礎年金満額)」というモデルケース。実際の受給額は個人の加入期間・標準報酬額・厚生年金の有無によって大きく異なる。自分の受給見込み額はねんきん定期便やねんきんネットで確認できる(出典:日本年金機構)。
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■本文
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令和8年度の年金額:国民年金70,608円・厚生年金237,279円
日本年金機構が公表した令和8年度(令和8年4月分から)の年金額は次のとおりです。
| 種類 | 令和8年度(月額) | 令和7年度(月額) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 国民年金(老齢基礎年金 満額)※1 | 70,608円 | 69,308円 | +1,300円(+1.9%) |
| 厚生年金(夫婦2人分 標準的な年金額)※2 | 237,279円 | 232,784円 | +4,495円(+2.0%) |
※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の満額は月額70,408円
※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬・賞与含む月額換算45万5,000円)で40年間就業した場合の老齢厚生年金+2人分の老齢基礎年金(満額)
4年連続の増額改定となりましたが、物価上昇率(+3.2%)より低い増額率(+1.9〜2.0%)のため、物価に対する実質的な年金の価値は目減りしています。
改定率の決まり方:物価と賃金のどちらが基準か
年金額の改定率は次のルールで決まります。
ステップ1:物価変動率と名目手取り賃金変動率を比較
令和8年度:
- 物価変動率(令和7年の値):+3.2%
- 名目手取り賃金変動率(令和6年の値):+2.1%
物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るため、低い方の**賃金変動率(+2.1%)**を基準にします。
ステップ2:マクロ経済スライドによる調整を差し引く
- 国民年金(基礎年金):▲0.2%
- 厚生年金(報酬比例部分):▲0.1%
結果
- 国民年金:+2.1%−0.2%=+1.9%
- 厚生年金:+2.1%−0.1%=+2.0%
マクロ経済スライドとは——財政を守る「抑制装置」
マクロ経済スライドは、年金財政の長期的な持続性を確保するために2004年に導入されました。労働者数(保険料を納める人の数)の減少と平均余命の伸びに合わせて、年金給付の伸びを自動的に抑える仕組みです。
物価・賃金がともにプラスの年にのみ発動します。デフレの時代(名目賃金がマイナスの年)はキャリーオーバーとして翌年以降に繰り越しされる設計です。令和8年度は4年連続の発動となりました。
在職老齢年金:65万円に引き上げ
65歳以上で働きながら年金を受け取る場合、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になる「在職老齢年金」という制度があります。
計算に使う「支給停止調整額」が令和8年度から65万円に引き上げられました(令和7年度は62万円)。月収+老齢厚生年金の合計が65万円を超えた分の2分の1が支給停止になります。調整額の引き上げにより、一部の就労者では年金の支給停止額が減る(受け取れる金額が増える)効果があります。
実際の受取額は「額面より少ない」
年金から天引きされる主なものを確認しておきましょう。
- 介護保険料:65歳以上は年金天引きが原則(年金額が年額18万円以上の場合)
- 健康保険料(後期高齢者医療保険料):75歳以上
- 所得税・住民税:年金収入が一定額を超える場合
ねんきん定期便(毎年誕生月に送付)やねんきんネット(Web)で、自分の加入記録と受給見込み額を確認できます。
エビデンス評価
【レベルA】国民年金満額70,608円(+1,300円・+1.9%)・厚生年金237,279円(+4,495円・+2.0%)・令和7年度との比較額
→ 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」(nenkin.go.jp、令和8年4月1日更新)ページ本文の表から直接確認
【レベルA】改定根拠(物価変動率+3.2%・名目手取り賃金変動率+2.1%→賃金基準)・マクロ経済スライド調整率(国民年金▲0.2%・厚生年金▲0.1%)・4年連続の増額改定・マクロ経済スライド発動
→ 日本年金機構FAQ「令和8年4月分からの年金額は前年度からどのように改定されたのですか」(nenkin.go.jp、令和8年4月1日更新)から直接確認
【レベルA】在職老齢年金支給停止調整額:令和8年度65万円(令和7年度62万円)
→ 厚労省情報(kaiketsu-j.com が令和8年1月23日公表を引用)で確認
【カテゴリー】金融・経済
【タグ】年金、国民年金、厚生年金、年金額改定、令和8年度、マクロ経済スライド、老齢基礎年金、在職老齢年金、ねんきん定期便、物価


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