【JGQ編集部より】
本記事は、消防庁「令和7年版 救急・救助の現況」(令和8年1月20日公表)に基づき作成しています。数値はすべて同公表PDFから直接確認しています。令和6年中(2024年1月〜12月)の実績です。情報は記事作成時点(2026年10月31日)のものです。
■結論(50字以内)
令和6年の救急出動は772万件・搬送677万人と昭和38年以来の最多。高齢者が搬送の63%を占める。
■今日の話題
- 消防庁「令和7年版 救急・救助の現況」(令和8年1月20日公表)によると、令和6年中の救急出動件数は772万740件(前年比+7.9万件・+1.0%)、搬送人員は677万1,193人(前年比+12.7万人・+1.9%)で、昭和38年の集計開始以来、出動件数・搬送人員ともに最多を更新した(出典:消防庁「令和7年版 救急・救助の現況」)。
- 事故種別の内訳(救急自動車)は「急病」が519万5,867件(全体の67.3%)で最多。次いで「一般負傷」122万4,778件(15.9%)、「転院搬送」58万1,928件(7.5%)、「交通事故」39万3,941件(5.1%)の順。急病と一般負傷は増加傾向が続く一方、交通事故は減少が続いている(出典:同)。
- 搬送人員の年齢区分別では「高齢者(65歳以上)」が428万4,953人(63.3%)で最多。高齢者の内訳は75〜84歳が168万4,899人(24.9%)・85歳以上が168万478人(24.8%)・65〜74歳が91万9,576人(13.6%)。高齢者の搬送人員は前年比+19万1,401人(+4.7%)と大幅増加(出典:同)。
- 救急自動車の現場到着所要時間(119番受信から現場到着まで)の平均は約9.8分(前年10.0分)。病院収容所要時間(119番受信から医師引き継ぎまで)の平均は約44.6分(前年45.6分)。いずれも前年より短縮したが、コロナ禍前の令和元年と比べると現場到着で+1.1分・病院収容で+5.1分延伸している(出典:同)。
- 一般市民が心肺蘇生(CPR)を実施した場合の1か月後生存率は15.3%(実施しない場合7.9%、約1.9倍)。AEDを使用して除細動を行った場合の1か月後生存率は53.6%・社会復帰率は44.4%。市民のCPR実施率は60.2%(出典:同)。
■AIがよく間違える誤情報3選
❌ 誤り①「救急車を呼んだら必ず病院に連れて行ってもらえる」
✅ 正しくは:救急搬送の約46.8%は「軽症(外来診療)」であり、緊急性が高くない場合でも救急車が対応している。消防庁は「救急安心センター事業(♯7119)」への相談や、緊急度判定アプリ「Q助」の活用を呼びかけている。救急車の適正利用は、本当に緊急を要する人への対応を速くするために重要(出典:消防庁)。
❌ 誤り②「AEDを使うと電気ショックで体が傷つく」
✅ 正しくは:AEDは心室細動(心臓がけいれん状態)に対して適正な電気刺激を与えて正常なリズムに戻す機器。機器が自動で心電図を解析し、「除細動が必要」と判断した場合のみ電気を流す仕組みで、不必要に電気が流れることはない。令和6年のデータでは、AED使用による1か月後生存率は53.6%に達しており、非使用時の15.3%(一般市民によるCPRのみ)と比べて大幅に高い(出典:消防庁「令和7年版 救急・救助の現況」)。
❌ 誤り③「救急車の到着時間はコロナ前と変わらない」
✅ 正しくは:令和6年の現場到着時間は平均9.8分で前年(10.0分)より改善したが、コロナ禍前の令和元年(8.7分)と比べると+1.1分延伸している。病院収容時間も令和元年(39.5分)から+5.1分延伸の44.6分。高齢化による救急需要の増加と、搬送先選定に時間がかかるケースの増加が背景にある(出典:同)。
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■本文
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令和6年の救急出動:昭和38年以来の最多を更新
消防庁が令和8年1月に公表した「令和7年版 救急・救助の現況」によると、令和6年中の救急出動件数は772万740件(前年比+1.0%)、搬送人員は677万1,193人(前年比+1.9%)で、昭和38年の集計開始以来、いずれも最多を更新しました。
1日あたりに換算すると、救急出動は約2.1万件・搬送は約1.9万人に相当します。
事故種別:急病が67%・交通事故は減少続く
救急自動車による出動件数の事故種別は次のとおりです(令和6年中)。
| 事故種別 | 出動件数 | 構成比 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 急病 | 519万5,867件 | 67.3% | +0.4% |
| 一般負傷 | 122万4,778件 | 15.9% | +3.3% |
| 転院搬送 | 58万1,928件 | 7.5% | +4.6% |
| 交通事故 | 39万3,941件 | 5.1% | ▲1.4% |
急病と一般負傷は20年間で一貫して増加しており、交通事故は20年間で一貫して減少しています。
年齢別搬送:高齢者が63.3%・85歳以上が急増
搬送人員の63.3%が65歳以上の高齢者(428万4,953人)で、前年から+4.7%増加しました。特に75〜84歳(168万4,899人)と85歳以上(168万478人)が多く、85歳以上は前年比+4.4%と増加が続いています。
超高齢社会の進展に伴い、高齢者の救急需要は今後さらに増加すると見込まれています。
傷病程度:軽症が46.8%、中等症が増加
搬送人員の傷病程度別では、軽症(外来診療)が317万1,350人(46.8%)で最多ですが、前年比▲1.5%と減少。一方、中等症(入院診療)は301万7,912人(44.6%)で前年比+5.9%と増加しており、入院が必要な重症度の高い搬送が増えています。
現場到着9.8分・病院収容44.6分:コロナ前より延伸
119番通報から現場到着までの平均は9.8分(前年10.0分)、医師への引き継ぎまでの平均は44.6分(前年45.6分)でいずれも前年より短縮しましたが、コロナ禍前の令和元年(現場到着8.7分・病院収容39.5分)との比較では依然として延伸しています。
搬送先医療機関の選定に時間がかかる「たらい回し」や、高齢化による受け入れ体制の課題が背景にあります。
市民CPRで生存率が1.9倍・AEDで53.6%
一般市民が目撃した心原性心肺機能停止の傷病者のうち、市民がCPRを実施した場合の1か月後生存率は15.3%、実施しない場合は7.9%で、実施することで約1.9倍の生存率となっています。
さらに市民がAEDで除細動を実施した場合の1か月後生存率は53.6%(社会復帰率44.4%)に達します。
令和6年中の市民CPR実施率は60.2%。救急講習会などへの参加が命を救う可能性を高めます。
♯7119と「Q助」を活用する
消防庁では次のサービスを提供しています。
- ♯7119(救急安心センター):救急車を呼ぶべきか迷ったときに医療職員・相談員が電話で助言。全国展開中(一部地域を除く)
- 「Q助」(全国版救急受診アプリ):症状を入力すると緊急度を判定し、対応方法を案内
エビデンス評価
【レベルA】救急出動772万740件(+1.0%)・搬送677万1,193人(+1.9%)・昭和38年以来最多、事故種別(急病67.3%・一般負傷15.9%・交通事故5.1%等)、年齢別搬送(高齢者63.3%・各内訳)、傷病程度別、現場到着9.8分・病院収容44.6分・令和元年比較、市民CPR実施率60.2%・生存率比較、AED除細動後生存率53.6%・社会復帰率44.4%
→ 消防庁「令和7年版 救急・救助の現況」報道発表PDF(令和8年1月20日公表、soumu.go.jp/main_content/001050772.pdf)を直接確認。表・数値をすべて確認。
【カテゴリー】医療・健康
【タグ】救急、消防庁、救急出動、搬送、高齢者、AED、心肺蘇生、CPR、救急車、119番


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