カスタマーハラスメント法制化(法律・制度)

法律・制度

【JGQ編集部より】
本記事は、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和7年法律第63号、2025年6月11日公布・令和8年10月1日施行)および「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和8年厚生労働省告示第51号、令和8年2月26日公布)に基づき作成しています。厚生労働省山口・愛知・福島・名古屋等の各都道府県労働局ページで内容の一致を確認しています。情報は記事作成時点(2026年11月5日)のものです。

■結論(50字以内)
令和8年10月から、カスタマーハラスメントへの対応が全事業主の義務になった。

■今日の話題

  1. 令和7年6月11日に「労働施策総合推進法等の一部を改正する法律」(令和7年法律第63号)が公布され、令和8年10月1日から施行された。これにより、カスタマーハラスメント(カスハラ)防止のための雇用管理上の措置が、業種・規模を問わずすべての事業主の義務となった(出典:厚生労働省各都道府県労働局資料)。
  2. カスタマーハラスメントの定義(令和8年厚生労働省告示第51号):①顧客・取引の相手方・施設の利用者その他の事業に関係を有する者が行う、②社会通念上許容される範囲を超えた言動によって、③労働者の就業環境が害される——の3つの要素をすべて満たすものをいう(出典:同告示・各都道府県労働局資料)。
  3. 事業主が講ずべき措置の代表例(カスタマーハラスメント防止指針):①方針の明確化と周知・啓発、②相談に応じ適切に対応するための体制の整備、③被害を受けた労働者への配慮、④カスタマーハラスメントへの対応マニュアル・フローの整備、⑤業務体制の整備(一人きりにしない等)、⑥従業員への研修(出典:同告示・厚生労働省リーフレット)。
  4. 「不当なクレームとカスタマーハラスメントの線引き」:怒鳴り声・暴言・侮辱的な発言・長時間拘束・SNSでの悪評流布の要求・土下座の要求などは社会通念上許容される範囲を超えると判断されやすい。正当なクレームや改善の要望はカスタマーハラスメントに該当しない(出典:同告示)。
  5. 厚生労働省は「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(令和8年9月改訂版)を公開している。また、ハラスメントに関する相談・情報提供は「あかるい職場応援団」(厚生労働省委託、無料)で受け付けている(出典:同)。

■AIがよく間違える誤情報3選

❌ 誤り①「カスタマーハラスメントの防止は大企業だけの義務」
✅ 正しくは:令和8年10月1日施行の改正労働施策総合推進法では「業種・規模に関わらず、すべての事業主」が義務の対象。個人事業主が従業員を雇用している場合も含まれる。厚生労働省のリーフレットも「規模・業種を問わず義務」と明記している(出典:厚生労働省)。

❌ 誤り②「お客さんからの厳しい苦情やクレームはすべてカスタマーハラスメント」
✅ 正しくは:カスタマーハラスメントの定義は「社会通念上許容される範囲を超えた言動」に限られる。製品の欠陥や不適切なサービスへの正当な指摘・改善の要望はカスタマーハラスメントに当たらない。厚生労働省の告示では「正当なクレームはカスタマーハラスメントに該当しない」と明記されている(出典:令和8年厚生労働省告示第51号)。

❌ 誤り③「カスタマーハラスメントをされても、お客様だから対応を断れない」
✅ 正しくは:令和8年10月以降は、事業主には被害を受けた労働者への配慮・対応マニュアルの整備・相談窓口の設置が義務付けられた。事業者として、明確なカスタマーハラスメント対応方針を定め、必要に応じて取引の制限・来店禁止・警察への通報等の対応を取ることが認められている(出典:同告示・厚生労働省対策企業マニュアル)。

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■本文
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カスタマーハラスメントとは——法律上の定義

令和8年10月1日から、「カスタマーハラスメント(カスハラ)」への対応が事業主の法的義務となりました。根拠は「労働施策総合推進法」の改正(令和7年法律第63号)です。

カスタマーハラスメントの定義(3要素すべてを満たすもの):

① 顧客・取引の相手方・施設の利用者その他の事業主の事業に関係を有する者が行う行為であること

② その行為が「社会通念上許容される範囲を超えた言動」であること

③ その結果、労働者の就業環境が害されること


典型的な行為例

告示・マニュアルが例示する「社会通念上許容される範囲を超えた言動」の代表例です。

言動の態様(内容)が問題になる例

  • 侮辱的な発言・暴言・怒鳴りつける行為
  • 土下座の要求
  • 脅迫・名誉毀損
  • 性的な言動・プライバシーの侵害

要求が不当である例

  • 商品・サービスとは関係のない金銭の要求
  • 合理的な範囲を超えた謝罪や対応の要求
  • SNSでの悪評の掲載を要求するいわゆる「炎上脅迫」
  • 長時間にわたる電話・来店による業務妨害

一方、正当な製品クレームや改善の要望はカスタマーハラスメントに当たりません。


事業主が講ずべき措置

告示(令和8年厚生労働省告示第51号)が定める事業主の義務的措置の代表例は次のとおりです。

(1)方針の明確化と周知・啓発
カスタマーハラスメントを「許さない」という方針を明確にし、就業規則等に定め、従業員に周知する。

(2)相談体制の整備
被害を受けた従業員が相談できる窓口を設ける。外部の相談機関を活用することも可。

(3)被害を受けた労働者への配慮
事案発生後に被害を受けた労働者のメンタルヘルス・業務上の配慮を行う(業務の一時的な変更・産業医への相談等)。

(4)対応マニュアル・フローの整備
カスタマーハラスメント発生時の対応手順を事前に定め、従業員が一人で対処しなくていい体制を作る。

(5)従業員への研修
カスタマーハラスメントの定義・対応方法について、採用時・定期的に研修を実施する。


活用できる公的リソース

厚生労働省「あかるい職場応援団」(https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/)
ハラスメントに関する相談・情報提供を無料で行う厚生労働省委託サイト。対応マニュアルのダウンロード、動画研修素材の提供もある。

「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(令和8年9月改訂版)
厚生労働省が公表している事業主向けの実践的なガイドブック。業種別の事例・対応フローも含む。


エビデンス評価

【レベルA】根拠法律(令和7年法律第63号)・公布日(2025年6月11日)・施行日(令和8年10月1日)、カスタマーハラスメントの定義の3要素、全事業主への義務化、カスタマーハラスメント防止指針(令和8年厚生労働省告示第51号・令和8年2月26日公布)
 → 厚生労働省山口・愛知・福島・名古屋等の各都道府県労働局ページで複数一致確認。厚生労働省本体のWebマガジン「厚生労働」(mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/63.html)でも確認。

【レベルA】カスタマーハラスメント対策企業マニュアルの令和8年9月改訂
 → 社労士情報サービス(psrn.jp)が厚生労働省令和8年9月8日公表として引用。複数ページで一致。

【カテゴリー】法律・制度

【タグ】カスタマーハラスメント、カスハラ、労働施策総合推進法、令和8年、ハラスメント防止、事業主義務、雇用管理、厚生労働省、あかるい職場応援団、労働者保護

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